はじめに

欧州連合（EU）の「消費者安全科学委員会（SCCS）」は、2012年の意見書「SCCS/1459/11」において、アレルゲンに敏感な人を肌荒れリスクから守るために、化粧品に含まれる香料アレルゲンをより多く消費者に知らしめるべきであると結論付けました。現行の香料アレルゲンリスト（26種類）は、すでに成分表での個別表示が必要になっていますが、そこからの増加が求められました。

欧州委員会のレビュー

欧州委員会おびすべての利害関係者が、この科学的意見を検討し、規制案に反映させるまでに数年を要したことになります。

表示すべきアレルゲンが26から87種類に増えるため、その製品表示については3つの選択肢が検討されました。

• オプション１：変更しない（表示すべき香料アレルゲンの数を増やさない）
• オプション２：すべての香料アレルゲンをパッケージ表示する
• オプション３：電子表示（更に、以下3つのサブ・オプション）:
  1. ウェブサイト（URL）による表示
  2. QRコードによる表示
  3. 拡張バーコードによる表示

欧州委員会による影響評価が行われ、2020年末に結果が公表されました。欧州委員会は、集められたフィードバックに基づき「パッケージ表示」を支持しており、「電子表示」については延期を検討しています。

なお、新たな香料アレルゲンは、現行の香料アレルゲン（26種類）と同様に、その濃度が以下の表示基準値を超える場合には表示が必要となります。

• 「肌に残る（Leave-on）」製品の場合、0.001 % （10 ppm）
• 「洗い流す（Leave-off）」製品の場合、0.01%（100ppm）

新たに表示が必要となるアレルゲンの正確なINCI名はまだ確定していませんが、暫定的な原料リストは下記の「Annex」として公表されています。

欧州委員会は6月に規制案を作成し、現在はレビューを実施中です。必要な法的手続きを考慮すると、この新法は遅くとも2022年第1四半期には採択される見込みです。

移行期間は以下の通りです。

• 新法発効から3年後には、準拠ラベルを貼付した製品のみがEU市場に投入可能となります。よって、現在推測される移行期限は2025年第1四半期となります。
• 発効から5年後には、準拠ラベルを貼付した製品のみがEU市場で販売可能となります。よって、推測される移行期限は2027年第1四半期となります。

EUで製造されていない化粧品の場合、「EU市場に出荷する」とは、製品の輸入ユニットを意味します。2025年第1四半期（具体的な日付は未定）の移行期限前にEU域内に入りCPNPにて正式に通知された製品は、現行の成分リスト （香料アレルゲン（26種類）を含む） のみで2027年第1四半期まで販売することが可能です。ただし、2025年第1四半期までにEU域内への輸入通関ができなかった製品は、現行成分リストでは販売できません。

Annex