化粧品コンプライアンス – 中国

中国の化粧品市場

中国は米国に次ぐ第2位の化粧品市場(135億6680万米ドル)であり、毎年11.2%(年平均成長率 2020-2023)の成長が見込まれています。この市場は、今後数年間で最も成長が早く、最も有望な市場の一つになると予想されています。

中国の売上高の4分の3弱はEコマースによるものです。美容市場の4分の1以上は輸入品で、その半分は

韓国と日本からのものです。また、米国、英国、フランスのブランドへの関心が高まっています。

中国では、化粧品市場で最も重要なセクターはスキンケアで、2018年の売上高は1,900億元(230億ユーロ)近くに達しています。

規制状況

中国の化粧品市場の主な規制機関は、国家医薬製品管理局(NMPA)です。NMPAは医薬品や医療機器の規制を担当する国家機関で、以前は中国食品医薬品局(CFDA)と呼ばれていましたが、現在、2018年に創設された国家市場規制総局(SAMR)の管理下に置かれています。

中国の化粧品の規制状況は、世界の他の地域に比べて非常に複雑です。化粧品はいくつかの法律によって規制されていますが、その大部分は1990年に施行された「化粧品の衛生監督に関する規制」(1989年)に由来しています。

この規制は、2020年6月末に公表され、2021年1月1日に施行予定の「化粧品監督管理規制」(CSAR)と呼ばれる新しい規制により取って代わられます。

CSARは6章と80の条文で構成されており、中国における化粧品の改革を目的としています。これは基本的な規制であり、動物実験、リスク評価、効果、効能など具体的な対策は別途講じられます。

中国の主要な化粧品規制に加えて、遵守しなければならない様々な規制文書があり、例えば以下のような内容が含まれています。

  • 成分(中国における既存の化粧品成分のインベントリ(IECIC 2015)):このインベントリには、中国で使用できる成分リストが記載されています。現時点では、8,783種類の成分しかリストアップされていません。ここに記載されていない成分は、新規の化粧品成分とみなされ、特定の登録プロセスを経なければ使用できません。
  • 含有制限物質:化粧品の安全性および技術基準(2015年)では、禁止物質制限物質陽性成分リスト(防腐剤、UVフィルター、着色料、染毛剤)など様々な種類の物質が規制されています。 また、微生物学的限界値有害物質の上限値などの安全要件も規制対象となっています。
  • GMP(化粧品製造企業のための衛生基準(2007年):業界内の適正製造規範を規定しています。
  • ラベル表示
    1. 化粧品のラベル表示に関する行政規定
    2. 規制GB 5296.3 – 2008 消費材の使用説明書 ― 化粧品の一般的な表示。

1つ目は法律で、2つ目は必須基準です。これらの2つの文章は、必須情報に関しては重複可能です。

  • 効能表示(クレーム)
    1. 化粧品のネーミングガイド (2010年)
    2. ラベルに記載された効能表示に関する規則

これらは、中国における化粧品の規制要件のほんの一部に過ぎません。

化粧品」 とは、「人体のあらゆる部分(皮膚、毛髪、爪、唇など)の表面に、人体の衛生を保ち、不快な臭いを除去し、皮膚を保護し、外観の美しさを高めるために、塗抹、スプレー、その他これに類する方法で塗布される化学製品」と定義されています。(第2条-化粧品の衛生監督に関する規則)

この定義には、工業製品に分類されるオーラルケア製品は含まれていません

今後のCSAR規則では、化粧品は次のように定義されます。

「日常的な化学製品で、皮膚、毛髪、爪、唇、その他人体表面に、洗浄、保護、美化、修正を目的として、散布、スプレー、またはその他の方法で塗布されるもの。」

新しい定義からは、「あらゆる」 外部部分と「不快な臭いを除去する」 が削除されています。

現行の規制では、
化粧品は以下の2つに分類されています。

特殊用途化粧品

これは、以下のサブカテゴリを含みます。

  • 髪の成長
  • 染毛剤
  • ヘアパーマ(カール)製品
  • 脱毛製品
  • 乳房強化製品
  • ダイエット製品(また抗むくみ製品を含む)
  • 消臭剤
  • シミ・美白対策製品
  • サンスクリーン
  • アンチエイジング化粧品や抗シワ化粧品は、特別用途化粧品には該当しません。
非特殊用途化粧品

このカテゴリには、以下のようなその他すべての製品が含まれています。

  • スキンケア製品
  • ヘアケア製品
  • ネイルケア製品
  • メイクアップ
  • 香水

新CSAR規制(2020年)に伴い、
新たなカテゴリーは以下の通りとなります。

特殊化粧品

以下の5カテゴリー(プラスその他):

  • 染毛剤
  • ヘアパーマ用品
  • 肌の美白製品
  • サンスクリーン
  • 抜け毛対策商品
  • その他、付加効力・効能を謳う化粧品で、登録の対象となるもの
一般化粧品

一般化粧品とは、「特別用途化粧品に該当しないすべての化粧品」と定義されています。

2021年7月1日以前に特別用途化粧品として登録された育毛剤、脱毛剤、バストアップ剤、痩身剤、デオドラント剤については、5年間の猶予期間が設けられています。

また、化粧品は以下のように分類することができます。

  • 国産品:中国本土で生産されたもの
  • 輸入品:海外製品

国産品と輸入品は、特殊化粧品か一般化粧品かによって、登録のための規制手続きが異なるため、この区別は重要です。

現行の手続き

非特殊用途化粧品

  • 輸入された非特殊用途化粧品には、化粧品営業許可証を持っている輸入者(かつ中国の責任者)が必要です。責任者は、製品の出願、及び品質と安全性に関する責任を負います。
  • 例えば、処方配合やラベルなどの情報を提供する書類を作成しなければなりません。 さらに、各製品は認可された中国の検査所で試験を受けなければなりません。
  • この書類は、RP(責任者)の所在地に応じて、NMPAまたは省の医薬品管理局に提出されます。RPが11の自由貿易区内にある場合は、省のMPAに提出します。RPが11の自由貿易区外にある場合は、NMPAに提出します。
  • この時点で、必要な書類がすべて揃っているかどうか、書式要件を満たしているかどうかが審査されます。この最初のステップが承認されない場合は、追加の書類が要求されます。
  • 書類審査が承認されると、NMPAはe-出願証明書を発行します(有効期限は未定)。製品は、輸入及び上市が可能となります。
  • 提出された書類の技術審査は、出願証明書が交付されてから3ヶ月以内に完了します。 この審査に通らなかった場合は、輸入・販売の停止、またはリコールとなります。

特殊化粧品

  • 中国責任代理店(RA)は、中国で登録された法人で、製品登録のみに責任を持ちます。
  • 製品の提出書類の取りまとめ、要件、製品試験、書類チェックは、特殊化粧品の方が、特殊用途以外の化粧品より厳しくなっています。
  • もう一つの大きな違いは、NMPAが管理ライセンス(4年間有効)を作成し、技術審査が完了するまでは製品を輸入できないことです。

今後の登録手続きについて

CSAR 第19条には次のように書かれています:「特殊化粧品の登録、又は一般化粧品の出願には、次の書類を提出しなければならない。」

  • 登録者及び出願人の氏名、住所及び連絡先
  • 製造事業者の名称、住所及び連絡先
  • 製品名
  • 製品の処方または全成分リスト
  • 製品が準拠している規格
  • 製品ラベルのサンプル原稿
  • 製品試験報告書
  • 製品安全性評価書

どのような仕組みになっているのでしょうか?

BIORIUSでは、化粧品の処方レビューとラベルレビューを実施することができます。

1.  処方レビュー

成分、IECICリスト内にある成分、安全性および技術基準に報告されている制限や用途の規制関連評価。

分析が完了すると、以下の要素をハイライトした処方レビューリポートが発行されます。

  • 降順によるINCI リスト(INCI 名の英語表記も併記)
  • 各成分の配合率と総量
  • IECICコンプライアンス
  • S&Tコンプライアンス
  • エキスパートのコメント
  • 対応する中国INCIリスト

2. ラベルと効能表示のレビュー

英語での製品ラベルの評価

評価終了時には、以下の要素を示す一覧表を発行します。

  • 必須要素
  • 必須要素(一次包装、二次包装、リーフレット)の存在
  • 効能表示
  • 各効能表示に対する結論
  • エキスパートのコメント – ラベル更新のための戦略的提言が提供されます。

その他の要件

必要な試験

2019年9月、NMPAは化粧品の試験に関する必須ガイドラインを発表しました。

中国へ輸入されたすべての製品は、海外ですでに試験を受けている場合でも、指定試験所であるNMPAが実施する特定の試験を受けなければなりません。

試験を行うことができる試験所は33か所あります(ミクロ、物理化学、毒性、人への安全性など)。 非特殊用途化粧品か特殊用途化粧品かによって試験内容は異なります。 特殊用途以外の化粧品は、特殊用途の化粧品に比べて試験回数が少なくなっています。また、化粧品に人への健康に危害を及ぼす物質が含まれている場合は、追加試験が必要となります。

検査依頼や検査結果は、NMPAが設置しているプラットフォームを介してオンラインで対処することができます。

動物実験

中国では、2021年5月1日以降、一般化粧品に限って動物実験の義務がなくなりました。

ただし、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 国の機関が発行したGMP証明書(協会や第三者機関のものではなく)
  • 製品の安全性を確認できる安全性評価

ただし、動物実験を避けることができない状況が3つあります。

  •  子供や乳幼児向けの製品
  •  新規成分を含む製品で、3年間のモニタリング期間中のもの
  • 企業、責任者が、NMPAで良好なスコアを持たない、もしく監査での不備や安全性に問題があった場合。

越境EC

中国へ化粧品を輸出するための代替方法として、越境ECやTmall、Vipshop、Koala、JDなどの第三者ECプラットフォームを利用する方法があります。

越境ECや税務管理の規制は非常に早く変化するため、企業は最新の情報を入手しておく必要があります。

最新情報によると、越境ECを経由して輸入された製品は、必須要件や登録などの免除が可能です。

さらに、既述されているように、越境ECを利用することで動物実験を回避できるというメリットもあります。

すべての商品を電子商取引で輸入できるわけではありません。税務総局、税関総局、財務省が定める「越境ECポジティブリスト」に該当するもののみ、輸入が可能です。

規制面では、商品の登録・届出が免除されるため、制限はありません。考慮すべき重要なポイントは、製品だけでなく、中国の消費者向けに翻訳されたラベル(オンライン版の製品ラベルなど)の品質と安全を確保することです。

将来的には、越境ECはより厳格に規制される可能性を含んでいます。

しかし、今のところ中国当局は現状を維持しており、電子商取引が中国市場に参入するための現実的な方法であることに変わりはありません。

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