化粧品にもREACH規則の義務があることをご存知ですか?(その2)

はじめに

前回の記事では、(完成品としての)化粧品がREACH規則の義務、特に【登録】を免除されない理由を解説しました。そこでの重要なメッセージは、化粧品を構成するすべての成分は、個々に「登録可能」であるということです。
今回の記事では、何を登録する必要があるか、誰が登録をしなくてはいけないか、誰が物質を登録できるか(また、それはケースによって異なること)を、より詳細に説明します。

キログラムごとにカウントが必要

REACH登録の重要な原則は、物質はキログラムごとに、(しかし1度だけ)カウントしなければならないということです。言い換えれば、製造や輸入によってEU内に初めて「現れた」ときのみを考慮するということです。長いリストよりも事例の方が分かりやすいかと思いますので、起こりうる幾つかのシナリオを挙げてみましょう。

  • 例えば、ある化粧品原料がヨーロッパで生産されたとします(①)。その原料がEUの複数の化粧品メーカー(OEM)に販売され(②)、それらOEMが化粧品に配合後、EUの化粧品ブランドに販売し(③)、最終的にはEUの消費者に販売される(④)とします。この場合、その物質は最初の生産者(①)によって登録されなければなりません。他の事業者(②~④)は川下ユーザーであり、彼らが使用している量はすでにカウント済みとみなされます。
  • 次に、同じ化粧品原料がEUで生産され(①)、米国のOEMメーカーに販売され(②)、そのOEMメーカーが化粧品を製造し、米国の化粧品ブランドに販売した後(③)、その物質を含む化粧品がEUに輸出され、消費者に販売される(④)とします。この場合も、物質の登録はEUの生産者(①)のみが行う必要があります。化粧品原料としてヨーロッパを離れた後に、化粧品(完成品)として戻ってくる「キログラム」については、改めて登録する必要はありません。ただし、このこと(=サプライチェーンを追跡し、算出することが困難であること)を証明できなければなりません。
  • より複雑なのは、物質がEU域外で生産されている場合です。例えば、中国で生産された物質がアメリカの化粧品OEMメーカーに販売され、そのOEMメーカーがアメリカの化粧品ブランドに販売し、その化粧品の一部がEUに輸出・販売されたとします。すると、完成品としての化粧品を輸入することで、初めてその物質がEUに「現れる」ことになります。そのため、この時に物質の「キログラム」を数えなければならず、REACH登録の必要性が生じる可能性があります。

また、完成品としての化粧品を欧州に輸入する際には、複数の物質が含まれていることを念頭に置く必要があります。すなわち、それぞれの物質の規制状況とトン数を個別に考慮する必要があります。BIORIUSでは、お客様の化粧品に含まれるこれらの物質の量を評価し、追跡するお手伝いをいたします。
なお、上記の例では、物質の「キロ数」をいつ数えなければならないかという問題だけを取り上げましたが、登録の必要可否、また誰が登録すべきか、については言及していません。

輸入者に登録責任があります

簡単に言えば、ヨーロッパの法律は、ヨーロッパ域内の企業にのみに適用(そして執行)されます。そのため、登録責任は、輸出者ではなく輸入者にあります。しかし、誰が輸入者であるかを定義するのは、簡単ではありません。

ほとんどの場合、商品の最終的な受取人(荷受人)が輸入責任を負う法人となります。

EU域内のディストリビューターが関与している場合は、EU域外の生産者からEU域内の顧客に商品が直接届く場合であっても、そのディストリビューターが輸入者とみなされます。

ここでは、完成品としての化粧品の例を紹介します。なお、この化粧品が輸入される以前には、該当する物質は一度もヨーロッパに「現れた」ことがないものとします:

  • 米国のOEMメーカーで化粧品が製造され、EUの化粧品ブランドに販売された後、EU内のディストリビューターを通じて販売されます。この場合、輸入者はEUの化粧品ブランドとなります。
  • 米国のOEMメーカーで化粧品が製造され、米国の化粧品ブランドに販売された後、EU内のディストリビューターを通じて販売されます。この場合、輸入者はEUのディストリビューターとなります。
  • 米国のOEMメーカーで化粧品が製造され、EU法人を持つを持つ米国の化粧品ブランドに販売します。そして、その製品は、EU法人を介して直接またはEU内のディストリビューターを通じて販売されます。この場合、輸入者は米国化粧品ブランドのEU法人となります。

これらは最も一般的なケースですが、起こりうるケースは無限にあります。従って、誰が「正式な」輸入者なのかを定義するのは非常に難しいことですが、BIORIUSではこの分析をお客様に代わって実施いたします

登録の下限量は年間1トンです。

年間数グラム、あるいは数キロ単位で輸入している物質は登録の必要はありません。登録が必要となる下限量は年間1トン(暦年)です。

しかし、この制限は、製品ごとではなく、物質ごと、法人ごとであることが重要なポイントです。つまり、さまざまな化粧品ブランドから多くの製品を輸入しているディストリビューターは、これら化粧品すべてに含まれる同一物質の重量を算出する必要があります。これは、特に一般的な成分の場合、非常に難しい作業となります。

したがって、輸入者は、製品によって物質の規制状況が異なる可能性があることを理解した上で、輸入物質の重量を年間ベースで算出し、登録書類に記載する物質量を推測する必要があります(前述の【物質はキログラムごとに、(しかし1度だけ)カウントしなければならない】を参照)。最終的な物質量が年間1トンを超える場合は、その物質をREACHに登録しなければなりません。

物質の量を推測するためには、登録書類の中で、すでにカウントされている必要があります。さらに、既存の登録書類がある(あるいは物質の製造者が登録している)という事実だけでは十分ではなく、あなたが輸入しようとしている製品に最終的に含まれる量が書類で宣言されていることを証明できなければなりません。そのためには、それが事実であると明記した提供者の声明文と、それに対応する登録番号が必要です。当局の監査が入った場合には、輸入に関する情報と、それに対応する書類を提出する必要があります。ほとんどのディストリビューターは、登録責任をサプライヤーに負わせることを選択しますが、一般的な化粧品物質の一部を登録して、サプライヤーとは独立して規制遵守を確保する方が賢明な場合もあります。

輸出者が登録を行うことも可能

ディストリビューターが、登録の手間を省き、物質のトン数を監視しなくても済むように、輸出者である化粧品ブランドに、製品に含まれる物質がすでにREACH登録されていることを示す証明書の提出を求めることがあります。

前述したように、原材料がEU域内で生産されている場合や、製造された物質が登録され・量が書類申告されている場合などは、化粧品ブランドがサプライヤー(OEMメーカーや原材料の生産者など)から証明書を入手できることもあります。しかし、そのようなケースは稀であり、たとえそうであっても、サプライチェーンを通じて情報を入手することは非常に困難です。

しかし(幸いなことに)、ビジネスを円滑に進める別の方法もあります。それは、輸出を行う化粧品ブランド自身が製品に含まれる物質を自主的に登録することで、ディストリビューターの責任をカバーしてしまうことです。EUに拠点を置く法人のみがREACH登録を行えるため、欧州の「唯一の代理人」を使って登録を行います。これは、化粧品規則における「責任者」に相当しますが、BIORIUSではこの責任者業務を代行いたします

輸出者には法的義務がないため、REACH登録は純粋に任意です。その場合、年間1トンという数字は単なる指標となります。EU域外の化粧品ブランドが、そのブランドの製品だけを輸入するディストリビューターを1社だけ持っている場合は意味があるかもしれません。

しかし、通常、ディストリビューターは様々な化粧品ブランドの製品を輸入しているため、特定の物質を複数の異なる製品から輸入する可能性があります。つまり、ある化粧品ブランドが輸出する物質量が年間1トン未満であっても、全体ではそれをはるかに超える量を輸入する可能性があるため、ディストリビューターによる登録が必要となります。

 同様に、化粧品ブランドが多くの販売ディストリビューターを持っている場合は、年間1トンをはるかに超える量を輸出することができますが、各ディストリビューターの輸入量が年間1トン未満であれば、REACH登録の義務はありません。つまり、それぞれの状況を個別に分析する必要があり、登録するか否かは輸出者・輸入者間の合意によって決定されなければなりません。BIORIUSでは、各当事者がそれぞれの役割と責任を理解し、公正な取引ができるよう、当事者間の仲介役を果たすことが可能です。

しかし、これで終わりではありません

今回の記事では、完成品としての化粧品に含まれる、どのような物質を登録すべきか、あるいは登録する価値があるかを解説いたしました。さらに、法的には、登録は輸入者(=通常はディストリビューター)が行うべきものであることも解説させていただきました。しかし、輸出者(=通常は化粧品ブランド)が代替で登録を行うことも可能です。最後に、輸入者と輸出者の間で話合いを行い、どちらが登録を行うべきかを決定するための要素がわかりました。

次のステップは、REACHに物質を登録することです。ここでも、いくつかの異なるシナリオが考えられます。また、化粧品(完成品)として輸入される物質に特有のポイントもあります。

その方法については、REACHと化粧品に関する次回の記事で紹介いたします。また、BIORIUSにご相談いただければ、ご質問への回答や、REACH関連のお手伝いをさせていただきます。EU域外の企業であれば、BIORIUSを御社の「唯一の代理人」としてご活用いただくことも可能です。BIORIUSは、REACH規則に関わる複雑なプロセスの全ステップにおいて、お客様の信頼できるパートナーになることを目指しています。

Dr. Philippe Azam
Dr. Philippe Azam

Director Safety & Regulatory Affairs – Chemistry
+33 7 62 89 33 99

ニュースレター購読

お問い合わせ

Rue Joseph Wauters, 113
7170 Manage, Belgium

+32 2 888 40 10
+44 20 3866 1208

info@biorius.com

Google Maps

© Copyright - 2008 – 2021 BIORIUS