はじめに
欧州委員会は、2020年11月12日に世界貿易機関(WTO)に対して、「オムニバスIII」規制案を通知しました。この規則案は2021年第2四半期中に採択され、2021年10月1日に発効する予定です。これは、欧州化粧品規制の付属書II、III、IV、VIの修正を意味します。内容が公式に発表されていないため、修正の可能性はありますが、現段階ではその可能性は極めて低いと思われます。
禁止される化粧品成分(付属書IIへの追加):
物質 | Cas 番号 | EC 番号 |
---|---|---|
Cobalt | 7440-48-4 | 231-158-0 |
Metaldehyde (ISO); 2,4,6,8-tetramethyl- 1,3,5,7- tetraoxacyclooctane | 108-62-3 | 203-600-2 |
Methylmercuric chloride | 115-09-3 | 204-064-2 |
Benzo[rst]pentaphene | 189-55-9 | 205-877-5 |
Dibenzo[b,def]chrysene; dibenzo[a,h]pyrene | 189-64-0 | 205-878-0 |
Ethanol, 2,2’-iminobis-, N- (C13-15-branched and linear alkyl) derivs. | 97925-95-6 | 308-208-6 |
Cyflumetofen (ISO); 2-methoxyethyl (RS)-2- (4-tertbutylphenyl)- 2-cyano-3-oxo-3-(α,α,α-trifluoro-otolyl) propionate | 400882-07-7 | – |
Diisohexyl phthalate | 71850-09-4 | 276-090-2 |
halosulfuron-methyl (ISO); methyl 3-chloro-5-{[(4,6- dimethoxypyrimidin-2-yl) carbamoyl]sulfamoyl}-1- methyl- 1H-pyrazole-4- carboxylate | 100784-20-1 | – |
2-methylimidazole | 693-98-1 | 211-765-7 |
Metaflumizone (ISO); (EZ)-2’-[2-(4-cyanophenyl)-1-(α,α,α -trifluoro-mtolyl) ethylidene]-[4-(trifluoromethoxy)phenyl] carbanilohydrazide [E-isomer ≥ 90 %, Z-isomer ≤ 10 % relative content]; [1](E)-2’-[2-(4-cyanophenyl)- 1-(α,α,α -trifluoro-m-tolyl) ethylidene]-[4-(trifluoromethoxy)phenyl]carbanilohydrazide [2] | 139968-49-3 [1]852403-68-0 [2] | – |
Dibutylbis(pentane-2,4- dionato-O,O’)tin | 22673-19-4 | 245-152-0 |
更に制限される化粧品成分(付属書IIIへの追加):
サリチル酸(Salicylic Acid)
防腐剤以外の目的で使用される場合、0.5%まで使用可能になります(以下の化粧品カテゴリーにおいて):
- ボディローション
- アイシャドウ
- マスカラ
- アイライナー
- リップスティック
- ロールオンタイプのデオドラント
(参考までに)以前の制限では、サリチル酸はこれらのカテゴリーでは、防腐剤の目的でのみ0.5%まで使用可能でした。
その他のカテゴリーでは、防腐剤として使用する場合、この成分に関する従来の制限が適用されます。
二酸化チタン(Titanium Dioxide)
付属書IIIに、粉末状の二酸化チタン(直径が10μm以下の粒子を1%以上含む)に関する項目が追加されます。
この成分は、(顔料、アナターゼ、表面処理を施した形で)次の使用が認められます:
- フェイスプロダクトであれば、パウダー状で25%まで
- エアゾール(スプレー)タイプのヘア製品で、1.4%まで(一般消費者向け)
- エアゾール(スプレー)タイプのヘア製品で、1.1%まで(業務用)
その他のカテゴリーの製品については、成分の濃度は制限されませんが、吸入により最終消費者の肺に影響を与える可能性がある場合は禁止されます。
更に制限される着色料(付属書IVへの追加):
二酸化チタン(Titanium Dioxide)
着色剤として使用され、直径が10μm以下の粒子を1%以上含む成分は、付属書IIIの新項目(上記参照)および項目IV/143(=欧州委員会指令95/45/(E 171)に定められた純度基準の遵守、および着色剤は必ず白色)を遵守しなければなりません。
更に制限されるUVフィルター(付属書VIへの追加):
二酸化チタン(Titanium Dioxide)
UVフィルターとして使用され、直径が10μm以下の粒子を1%以上含む成分は、付属書IIIの新項目(上記参照)および項目VI/27を遵守しなければなりません。
付属書IIIで制限されておらず、UVフィルターとして二酸化チタンを含む製品には、25%の制限が適用されます。この制限は、製品に含まれるあらゆる形態の二酸化チタンの合計に適用されます。
結論
自社製品に二酸化チタンが含まれている場合
- 製品の種類を確認してください。それは吸入可能なものですか(粉末、スプレー)?
- 上記が「Yes」の場合、10µm以下の粒度分布を確認する。
- 10µm以下の粒子が1%以上含まれている場合:
- フェイス用ルースパウダーの場合:最大25%の顔料フォルムを含むもののみ。
- ヘアエアゾールスプレーの場合:一般消費者向けには最大1.4%、業務用には最大1.1%の顔料フォルムを含むものに限る。
- 吸入することで最終消費者の肺に影響を与える可能性のある他製品の場合:禁止。
- UVフィルターとして使用する場合は付属書VI/27およびVI/27a、着色料として使用する場合は付属書IV/143に定められた制限と純度の基準に通常通り従ってください。
この記事がお役に立てれば幸いです。不明な点などがございましたら、ご遠慮なく弊社アカウントマネージャーにお問い合わせください。規制文書の変更があった場合には、常に最新情報をお届けいたします。
M. Pierre Verachten
International Regulatory Supervisor
化粧品ビジネスに影響を与えるトピックについての最新情報は、Regulatory Blog【英語】【日本語】をご覧ください。