中国:「化粧品監督管理規制」(CSAR) – IIL 01

中国は2021年1月1日に「化粧品監督管理規制」(CSAR)という新しい条例を施行します。中国は米国に次いで世界第2位の化粧品市場であり、この変更は世界中の多くの企業に大きな影響を与えることになるでしょう。

新条例は、1990年に施行された「化粧品衛生監督条例」を改定したものであり、条文は35条から80条に増えました。

この条例は6章80条からなり、中国における化粧品の改革につながるものです。しかしながら、これは基本的な枠組みを示す条例であり、動物実験、リスク評価、効能や効果などの特定の側面に対応するためには、それぞれ具体的な措置が個別に取られることを忘れてはなりません。実際、中国の化粧品規制は、いくつかの法律からなる原則法を中心に構築されているため、非常に複雑であることを知っておく必要があります。

今回の記事では、この新条例によって導入された主な変更点を紹介します。

  1. 化粧品の新たな定義

CSARの第3条では、次のように述べています:

「化粧品」とは、皮膚、髪、爪、唇、その他の身体表面の部位に、洗浄、保護、美化、修正を目的として、塗布、吹掛け、その他類似の方法で散布される日常的な化学製品である。

新しい定義からは、「あらゆる」 外部部分と「不快な臭いを除去する」という文言が削除されました。また、歯磨き粉は「一般化粧品」に含まれることになります。

  • 化粧品カテゴリーの変更

特殊用途化粧品については、9つから以下の5カテゴリー(プラス1)に減少しました:

  • 染毛剤
  • ヘアパーマ用品
  • 肌の美白製品
  • 日焼け止め製品
  • 抜け毛対策製品
  • その他、新しい効果・効能を謳う化粧品で、登録の対象となるもの

非特殊用途化粧品は、今後「一般化粧品」と呼ばれ、特殊用途化粧品に含まれないその他の製品を指します。

2021年7月1日以前に特別用途化粧品として登録された育毛剤、脱毛製品、バスト⽤製品、シェイプアップ製品、デオドラント製品については、5年間の猶予期間が設けられています。移行期間終了後は、これら製品の製造、輸入、販売が禁止されます。これら製品の規制上の分類は現在のところ定義されておらず、特殊用途化粧品、一般的化粧品、もしくは医薬品になるだろうと考えられます。

  • 新しい成分管理プロセス

現行の規制では、新成分の登録は複雑で費用と時間のかかるプロセスとなっています。このため、中国国外の化粧品で使用されている多くの成分は、IECIC(Inventory of Existing Cosmetic Ingredients)に登録されていません。

今回のCSARでは、新成分は関連するリスクに基づいて管理・規制されます。防腐剤、日焼け止めフィルター、着色料、美白剤などの成分のように、リスクが高い場合は、NMPA(国家薬品監督管理局)に登録して承認を得る必要があります。

なお、NMPA(国家薬品監督管理局)は、中国における化粧品の主な規制機関であり、2018年の組織改編により国家食品薬品監督管理局(CFDA)から分かれたものになります。

  • クレーム(効能・効果)の有効性は公開される

クレーム(効能・効果)は、文献、有効性試験、または研究データから得られた強固な情報によって裏付けられなければならず、社会的な監視のためにNMPAのウェブサイトで公開されなければなりません。

  • 化粧品および新成分の安全性評価

新条例では、化粧品や成分の登録・申請前に、企業は安全性評価を行わなければならないとされています。安全性評価者は、化粧品の分野で専門的な資格を持ち、5年以上の適切な実務経験を有していなければなりません。

  • 動物実験の現状

CSARでは、動物実験に関する直接的な言及がないため、状況はまだ漠然としています。しかし、最近の補助的規制の草案によると、輸入された一般的化粧品に限り免除の可能性が示されています。すなわち、以下の2つの条件が満たされていれば、動物実験を回避することができます:

  • 肯定的な結果の安全性評価報告書
  • 政府が発行したGMP(これは最も困難なステップですが、今後の確認が必要)

輸入された特殊用途化粧品や、乳幼児向け製品、新成分を含む製品など、いくつかのカテゴリーでは、依然として動物実験が義務づけられています。

  • 責任者

化粧品登録者および届出者は、化粧品の品質、安全性、有効性の主張に責任を持ちます。海外の化粧品会社は、中国国内に拠点を置く法人を指定して、化粧品の登録・申請を行う必要があります。

Bioriusでは、化粧品処方やパッケージのアートワークが中国の化粧品規制に適合しているかを評価するお手伝いをいたします。

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