化粧品にもREACH規則の義務があることをご存知ですか?

その1

私は、BIORIUSで化学物質規制に関するコンサルティング業務を担当しています。そこで気がついたのは、様々な意見が飛び交い、根拠のない伝聞や、噂などを元にした質問が多々あるということでした。その質問とは 「REACH規則は化粧品にどのように適用されるのか?」というものです。この記事では、質問に対する回答のみならず、この回答が提起するであろう「次なる質問」についても(後編の記事にて)解説をしていきたいと思います。

化粧品に含まれる化学物質もREACH規則の対象である

欧州では、化学物質は主にREACH規則CLP規則によって規制されています。
化粧品には、安全性と表示に関する「化粧品規制」が存在するので、化学物質の規制は関係ないと思われるかもしれません。しかし、残念ながらそれは間違いです。  化粧品はCLP規則の対象外ではありますが、REACH規則の対象になります。

難解で複雑なREACH規則

REACH規則は非常に複雑です

REACHは膨大で野心的な規制です。この種の規制としては世界初となりますが、その目的は、欧州におけるすべての化学物質の安全な使用を確保することにあります。この目標は、規則名称に表れてように、次の4つのステップによって達成されます。すなわち、登録(Registration)、評価(Evaluation)、認可(Authorisation)、制限(Restriction)です。

世界中の他の化学物質規則と比較して、REACH規則の主な特徴(相違点)は、それが新規物質にのみ適用されるのではなく、既存のすべての物質に適用されるということです。

REACH規則の無視できない部分

化粧品業界は、物質の「評価」、「制限」、「認可」にほとんど影響力を持ちません。しかし、これら規制プロセスの結果によっては、化粧品が影響を受ける可能性があります。

ある物質が、何らかの懸念により更なる調査が必要な場合には、「評価」が行われます。「制限」と「認可」のステップは、高懸念物質(SVHC)の使用制限を目的としたプロセスです。その方法は、一部用途での使用を制限すること(=制限)から、最も重要な用途にのみ使用を留めること(=認可)まで多岐にわたります。これらのステップは、当局(ECHA、EU加盟国、欧州委員会)の責任で行われ、化粧品業界からのインプットは非常に少なくなっています。しかし、該当物質が候補リストに掲載されたり、認可申請されたりすると、関連する義務が化粧品にも適用されることになります。

「登録」が最も重要です

REACHプロセスの最初のステップは、業界の責任のもとに行われる「登録」です。登録の基本原則は、欧州での全ての化学物質製造者・輸入者が、その化学物質の安全性を確保することです。但し、これは「言うは易く行うは難し」で、登録を行うためには次の3つの主要パラメータを知る必要があります。すなわち、① 製造または輸入している物質の量、② その毒性、そして③ 安全な方法で使用されているかどうか、です。欧州で年間1トン以上の化学物質を輸入・製造する企業は、これらの要素をすべて登録書類に記載しなければなりません。今のところ、水、天然由来の物質(ただし、条件付き)、ポリマーなど、安全性が確認されている物質については、登録が免除されています(今後は変更される予定)。さらに、非常に重要なことですが、成形品(=Article)※や成形品に含まれる物質は、登録が免除されます(ただし、REACHは免除されません)。

※「成形品(=Article)」とは、化学組成によって決定されるよりも大きく機能を決定する特定の形状、表面またはデザインが生産時に与えられた物質を指す、と定義されています。つまり、家庭や産業界で広く使われている部品・製品のほとんどは、成形品(例:家具、衣服、自動車、玩具、および電子機器)であると言えます。

それでは、化粧品はどうなるのでしょうか?

上記では、「成形品は登録を免除される」と示しました。それでは、口紅やクリームのチューブなども免除対象でしょうか?答えは、Yesそして Noです。

理解すべき最も重要な点は、例えばチューブ入りクリームを輸入する場合、チューブは成形品ですが、中身は混合物(=Mixture)に該当するということです。つまり、「物質・混合物の放出を意図した成形品」とみなされます。そして、成形品は登録を免除される一方、混合物中の物質は免除をされません。混合物を輸入するということは、その成分を一つ一つ個別に輸入するのと同じ扱いになります。したがって、化粧品を輸入する場合、実際には「成形品」と、多くの異なる物質からなる「混合物」の両方を輸入していることになります。  これらの物質は、それぞれREACHに登録しなければならないかもしれません。この解釈は、フランス当局のREACHヘルプデスクの見解としても確認されています(番号33414)。

これはほんの始まりに過ぎません

さて、(最終品としての)化粧品の成分をREACHに登録しなければならない可能性があることはご理解いただけましたでしょうか。次に問題になるのが、誰が登録するのか、どのように登録するのかということです。これらの質問は、一見簡単そうに見えますが、(規制に関する事柄の常として)出来ること、行うべきこと、はそれほど明白ではありません。

この質問に対する答えは、REACHと化粧品に関する次回の記事で解説をいたします。
また、BIORIUSにご相談いただければ、個別に回答をさせていただきます。

筆者について

健康と環境の毒物学、及びリスク評価の経験を持つ毒性学エクスパートです。様々な市場での化学物質の登録や規制遵守において、Solvay社などで10年以上に渡る実績・経験がございます。

皮膚感作法に関する博士号を取得後、カリフォルニア大学で博士研究員として勤務。バイオテクノロジー企業であるLFB社、Solvay社を経て、BIORIUSに参画。BIORIUSでは、化学品規制サービスの開発をミッションとする。詳細はこちら(LinkedInページ)をご覧ください。

Dr. Philippe Azam
Dr. Philippe Azam

Director Safety & Regulatory Affairs – Chemistry
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